(日本語) 【EVENT REPORT】ILER NIGHT vol.4「 with/afterコロナ日本観光体験はどう変わるか」
2020.06.19
- EVENT REPORT
これからのグローバル&ローカルビジネスを考える人たちが集い、働き、繋がる場所、INBOUND LEAGUEです!
先日5/20にオンラインセミナーを開催しました。
このコロナ禍でILERnightとしては初となるオンラインでの実施です。
当日は13名の方にご参加いただき(一般の方のお申込みもありました)大いに盛り上がりました。
そのイベントレポートをしたいと思います。
イベントテーマは「with/afterコロナ 日本観光体験がどう変わるか」
講師はINBOUND LEAGUE会員のJapan Culture and Technology,Inc代表取締役飯倉さん。ハイエンドな日本文化体験を海外観光客向けの提供する事業をしています。
まずは自己紹介からスタートしました。
オンラインらしく、チャットに投稿するという形に。
オフラインのセミナーでは、参加者の自己紹介を丁寧にしていたら時間が無くなってしまいますが、チャット機能を活用することで残る形で自己紹介が出来るのはオンラインの良い所ですね。
次に皆様から事前にいただいていた質問を共有。
Japan culture and technology, Inc.(通称J-CAT)の説明がありました。事業としては以下の2つを行っています。
1. 日本文化体験の一流の講師の方と、提携している特別な場所(寺院や神社、庭園など)をアレンジして、法人旅行や研修向けにハイエンドな日本文化体験を提供する事業(和文化エクスペリエンス)。
Webはこちら
https://wabunka-experience.com/
例として、築地の本願寺や神田(明神)神社を貸し切り、数十人の団体向けに多言語にて、華道や書道体験を芸術家のパフォーマンス含め提供中。取引実績としては、Apple, Incや住友商事(株)など。各種旅行会社ともパートナーシップを締結している。
2. ホテル・旅館向けに、体験講師が出張し、ワークショップを提供するプラットフォーム事業。
このサービスはUDSの運営している各ホテルに導入する形でのコラボレーションを進めていた案件でもあったが、コロナウィルスの影響でペンディングになってしまっている。(こればかりはしょうがない)
ホテル・旅館で、体験に適した和室や遊休スペース(イベントスペースやスイートルームの空き時間等)を持つところにはオススメのサービスとなっている。
例えば、使っていない時間帯の客室・レストランで、茶道体験や寿司作り体験を提供する等。ホテル・旅館側が企画するのはとても大変だが、ボタンひとつで一流の文化体験講師が呼べ、ホテルのお客様に一流のサービスを提供でき、顧客満足度を向上させることができる。
INBOUND LEAGUEにもとても素敵な和室があって、そこで茶道、書道体験などを提供する予定。
トークセッションの形で進行しました。
質問:Withコロナの時期。オフラインで体験することで成立していた「体験という商品」に、そもそもオンラインとしてニーズはあるか?
飯倉さん
先行してオンライン体験を提供しているAirbnb (experiences)は、瞑想体験、折り紙体験などを出品しているが、日本のコンテンツはとても人気。予約も多く、レビューも何百件も書かれている。日本のファン、文化がとても好きだという外国の方が多くいるのだと実感する。
Airbnbはアマチュアの方が安いレンジ(500〜1000円くらい)、かつ少人数(定員3〜4人)で出来る体験を販売しているケースが多い。Airbnb社でも、ローカルの体験という訴求ポイントとして事業を展開している。
弊社のWABUNKA EXPERIENCEは一流の講師の方による、ハイエンド(3,000〜5,000円)な価格帯とクオリティで提供している。また1回の参加人数も多め(10~30人程)となっている。
例えば、提供中のオンライン瞑想・座禅体験の講師は、京都の寺院の住職の方で米・スタンフォード大客員講師でもあり、Microsoft本社、Yahoo!、三菱UFJ銀行等で講演実績がある。また、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席するなど、世界各国で宗教の垣根を超えて活動している方で、超一流の講師となっている。
質問:オフラインコンテンツをオンラインでどのように価値を提供しているか?
飯倉さん:
オフラインとオンラインでのコンテンツは、別物と分けて考えコンテンツ内容を作り・提供すべきと考える。オンライン体験のトライアルを実施してみて、華道や茶道などの道具を使うコンテンツは、オフラインのものをそのままオンラインへ移行することは難しいとわかってきた。コンテンツの内容を、座学部分の説明を多くするなど、オンラインに適した内容にカスタマイズすることが重要だと感じている。
また今はコロナ禍でオンラインでのイベントが中心となっているが、実際の体験にとって重要なコミュニケーション方法や場の雰囲気を感じることにはやはり制限があり、オフライン・対面での価値について今一度考える契機となっている。コロナウィルス収束後、実際の体験の全てがオンラインに移行するわけでなく、オフラインでの体験は必ず復活するものであり、現在のオンラインコンテンツの参加者を、いかにオフラインの体験に繋げるかが重要と考える。そのため、オンラインでのコンテンツ・体験は、将来的に実際に現地で体験してみたいと思えるような内容にしている。
質問:オンラインとオフラインの特徴の違いなどはあるか?
飯倉さん
実際に提供をしてみて、オフラインの体験コンテンツと比べ、オンラインで提供する体験コンテンツの人気分野は異なるということがわかってきた。
オフラインでは、実際に自身で手を動かす華道や茶道が人気であったが、オンラインだと、物がなくても気軽に出来るというような理由から座禅・マインドフルネスの体験が人気である。VR・AR等を用いることでオンラインでも、オフラインの体験に可能な限り近づけることはできるが、やはり、場所の雰囲気、専用道具の有無、講師から手取り足取りレクチャーすることなどの違いがあり、これらを考慮して、オンラインでできるコンテンツを考える必要がある。
質問:オンライン体験はリアルタイムで提供しているか、それとも録画したものを提供しているか?また提供する国への時差などは考慮しているか?
飯倉さん:
リアルタイム配信にこだわっている。YouTubeで無料のレクチャーをしている動画は多くあるが、Q&Aや参加者同士のリアルタイムでの相互コミュニケーションに価値があると考えている。時差に関しては、国ごとに大まかにターゲット決めて時間帯をあわせている(日本の早朝や深夜の時間帯などに実施もしている)。
質問:小人数での実施か、大人数での実施をしているか?
飯倉さん:
少人数で実施する参加型(インタラクティブ形式)と大人数で実施するウェビナー形式を目的によって使い分けている。
例えば企業研修向けに、社員同士のコミュニケーションや、積極的な参加を目的とするのであれば、10~20人で実施し、講師含め参加者同士のコミュニケーションを重要視する内容としている。一方、コンシューマー向けに体験を提供する際には、どうしても単価が低くなってしまうため、1回あたりの人数を多くし、大人数で実施しないと事業としてペイできないケースもある。そのような際には、ウェビナー形式を採用している。
質問:オンラインのコンテンツはこのようにしたほうが良いなど、具体的な例はあるか?
飯倉さん:
日本文化体験は歴史的背景や座学を多くすることで、オンラインで日本文化の歴史を知りたい、勉強したいというニーズに応えている。特にオフラインの体験だと、参加者の目の前に道具が用意されてあるので、書道であれば「すぐ筆で書きたい!」、茶道であれば「すぐお茶を点てたい、飲みたい!」などと考える参加者が多く、座学は飽きられてしまう。オンラインでは、しっかり時間をとって、歴史的背景を説明することが可能。
またプロモーション手法としても、体験というテーマだけではなく、例えば華道であれば「秘められし華道の精神を学ぶ」など、座学レクチャーとして興味をそそるようなテーマにすると良いのではと考える。
質問:オンラインの集客方法はどのようにしているか?
飯倉さん:
旅行会社やOTAの会社とパートナーシップを組みプロモーションを実施している。またインバウンド向けの広告代理店・プロモーション会社の費用単価も下がっており、うまくパートナーシップを組むと良いのではと考えている。例えば、従来までショット単位で広告費がかかっていたものが、成功報酬型プロモーションといった形で提供している広告代理店・プロモーション会社もあるため、そのようなところを上手く活用することで、イニシャルコストをかけずにプロモーションが出来る。
また海外現地事情に詳しい広告代理店・プロモーション会社、例えば、INBOUND LEAGUEに入居しているEntranceさんとも、どのように中国に日本のオンライン体験を売るかということを話している。
質問:withコロナ
1. 今できること、やるべきことは?
2. どのように復活させていくか?
飯倉さん:
インバウンド事業において、今できることを考える上で大事なことは、どの時期に事業復活のターゲットを定めるか。観光客の戻る順番の地域別としては、①国内観光客→②コロナが落ち着いてきた東南アジア各国→③欧米といった順番になると言われている。①~③のどの地域・時期にターゲットを置くかで、行動するための時間軸や戦略が変わってくる。国内旅行客をターゲットとして、インバウンド向け事業をピボットするのか?アジア圏の復活を待つか?欧米を待つか?など。
どこをターゲットとするかは、一社一社の事業内容や資金体力にもよると思う。欧米を待つ余裕があるのであればじっくり商品を練り上げる。早めにキャッシュインが必要な場合は国内・アジアにターゲットを絞るといった考え方もある。
来年はオリンピックというキーファクターがあるため、希望的観測でもあるが、早期のインバウンド市場の復活もあり得る。もしくはオリンピックを実施しても、政府関係者、一部オリンピック関係者しか来日しないという可能性もあるため、そのような案件を取りにいくのも戦略の1つでもある。
質問:2〜3年のスパンで観光はどう変わると思うか?
飯倉:
やはり大きくは3密回避のため、大人数や団体旅行客が減ってくる可能性があると考える。またテーマパークやイベント等もソーシャルディスタンス確保のため、人数を絞って開催する可能性がある。そうなると一人当たりの単価を上げなくてはいけないため、それに見合ったサービス向上、付加価値の提供が欠かせない。サービス品質向上を迫られるため、各社大きく事業の転換期を迎えるのではと考える。
質問:今年チャレンジしたいこと、それをするためにこんなリソースが欲しいを教えてほしい
飯倉:
弊社はオンライン・オフライン共に体験コンテンツには自信がある一方、海外向けのプロモーションはまだまだ弱い。海外向けオンライン体験のプロモーションを一緒にやっていける事業者と繋がりたい。
最後にINBOUND LEAGUEからの告知です。
コミュニティメンバーサービスを企画中です。
詳しくはこちら
https://inbound-league.jp/news/1030/
コンセプトは「グローバル&ローカル」で越境ビジネスに携わっている方々が繋がり、新しい価値創造が出来る場を目指しています。そちらもチェックお願いします!
文量の都合上、省略している所も多々あります。
より詳しい内容を知りたいという方はLEAGUEまでお問い合わせください。
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