【インタビュー後編】「可動産」プラットフォーマーへ!注目のベンチャー企業Carstay株式会社に話を聞きました
2020.01.17
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これからのグローバル&ローカルビジネスを考える人たちが集い、働き、繋がる場所、インバウンドリーグ。ここにご入居されている企業様を紹介するシリーズ第一弾!
記念すべき第一回は、vanに特化したカーシェアリングサービスと可動産という新たな概念を提唱し注目を集める期待のベンチャーCarstay株式会社の宮下さんにお越しいただきました。
前編はこちら
Carstay株式会社 代表取締役社長 宮下晃樹さん(以下:宮)
インタビュアー UDS株式会社 コミュニティマネジメント事業部 寺尾講平(以下:寺)
起業への道のり
寺:宮下さんて元々車とかお好きなんですか?
宮:全然そんなことないんです(笑)
車も興味もなければ車中泊もしたことなくて、どっちかというとインドア派でした。
寺:そうなんですね、起業に至った経緯を教えていただけますか?確かロシアで幼少期を過ごされたとか。
宮:親の仕事の都合でロシアで育ちました。その後もアメリカにいたりとかもあったんです。とはいえ学生時代にやりたいことって見つからなかったんですね。
で、社会人やりながら色んな人に会ってやりたいこと見つかればいいな〜、見つからなくても会計士でぬくぬくやろうかなくらいの甘い考えだったんです。
20歳で公認会計士取ってデロイトトーマツ入って24歳まで働きました。海外案件手掛けたりとか地方創生とかやってたんですがベンチャー支援が抜群に面白かった。
ベンチャー側の人間にいつかなりたいなぁというのはなんとなく仕事の中で思ってて。帆を掲げて仲間集めてリスクとって冒険して、ってかっこいいじゃないですか。一方でそれをやり得るためのスキルとやりたいことの両方ないとやれないなと思ってて。
一旦、デロイトの4年間はスキルを徹底的に磨こうという期間でした。土日もボランティアで事業計画一緒に作ったりとか勝手に営業したりとか色んなベンチャーのお手伝いさせてもらってノウハウがなんとなく溜まっていきました。それと並行して何がやりたいかなと考えていたときに、たまたま自分が海外に住んでいた、自分が外国人として育った期間が長かったときに現地の人に良くしてもらえたからここまで来れたなと思ったんですね。で、今の日本がこれだけ海外のインバウンドの方が増えてきてる中で、そのような方に恩送りじゃないですけど素敵な体験をプレゼントしたいなと思ったんです。これが自分の中で一番大きなやりたいことの柱だと気がついたんです。
それでまずは海外の友達が日本に来たときのガイドとかから始めました。それが楽しくて好きでやってたらメンバーも増えて、一時期は80人くらいになっちゃって(笑)
で、成田空港さんとかからお仕事もらえるようになったんですよ。実はこのインバウンドリーグの立ち上げのお手伝いもそのときにさせてもらってました。
自分たちが好きでやってたことが段々ビジネスになっていく過程が面白くて、24のときに独立しました。Carstayは26のときに設立しました。
それで、じゃあ何をやろうかというときに、今の事業に決めたポイントが2つあります。
1つ目は自分たちがガイドをしているときの課題で、地域への誘致をしたいときに公共交通機関から先の足(2次交通)がマジで無い!ということ。ただ、課題と同時に喜んでくれるポイントでもあって、例えば都会から離れた秘湯に連れてってあげたときなどは「自分ひとりでは行けないから嬉しい」と。
こんだけITが発達して情報を掴むことが出来ても物理的にアクセス出来ないのって問題だなと思ったんです。しかもITにしても、僕が個人的におすすめの店って情報が出てこなくて、ローカルとグローバルの情報のギャップってかなりあるなと気が付きました。
2つ目は、2年間で述べ1,200人くらいガイドして、総じて満足度は高かったんです。ただ、されど1000人くらいだなと。今インバウンドの方々って3,000万人とか来てて、このガイド組織を育ててガイドメンバーを仮に1万人くらいにしても3,000万人なんて対応しきれないなって。だったらこのガイドで得たこと、2次交通の問題解決、ローカルの情報ってITに落とし込んだほうがいいなと思ったんです。
というわけで、2次交通の課題とIT化の遅れという2つの課題への危機感から、これを両方つなぐものってなんだろうって。
それで海外で二次交通とか車とか移動で楽しめるサービスを探したんです。Airbnbじゃ移動できないしな〜と色々調べてたらインスタでvanlifeとか見つけて、直感的にこれだ!って思ったんです。インスタのvalife見てると、車がかっこいいこともさることながら、みんな笑顔で自然もあってと、とても豊かなライフスタイルだと感じたんです。直感的に、これって今の日本に足りないものなんじゃないかと思って、最初はインバウンド事業で考えてたんですけど、試しに情報発信してみたら日本人もこれやりたいって声も集まってきて、このvanlifeをテーマにして観光にも繋がりながら日本ももっと豊かに出来たらいいなと考えて去年立ち上げたって感じですね。
最近のトピック
寺:最近のトピックがあれば教えてください。
宮:大きくは3つあります。
1つ目は自動運転のコンソーシアムに入らせてもらったこと。東京モーターショーとか展示会にも出させてもらって、自動車とか自動運転の方々とお仕事を一緒に出来るようになりました。
2つ目は、先日NTTさんと提携させてもらったこと。これはvanlifeの明確な2つの課題を解決するためです。その課題とは、車自体の快適さと車停める場所の快適さです。やはりまだまだ日本ではホテルの方が全然便利じゃないですか。車で寝るとなんか不便だし、外だと何があるか。という点。車も買わなきゃいけないし、停めれる場所も全然なくて。例えば車中泊って公に謳える所って日本だと全然少なくて1,000箇所も無いと思います。道の駅とかも段々車中泊禁止にする所が多くて。
寺:そうなんですね!なんでですか?
宮:無料キャンプ場問題と一緒で、やる人が一定以上増えるとマナー悪い層の利用も比率的に増えてくることが理由です。例えば釣りしてトイレ専有して魚さばいてる人がいたりとか一ヶ月間住んでる人とかがいるんです。で、マナーの問題でこれ無料でやり続けるの無理じゃない?という方向になってきている。しかもそういう人に限って何も買わなかったりするのでちょっと車中泊は禁止にしようという流れになってきてるんです。
寺:そうなると現在安全に車中泊できるのはどこになるんですか?
宮:やっぱり男一人だったらまあ心配はないかもしれませんが、女性一人だとか家族とかで安心して車中泊出来る所っていったらやっぱりキャンプ場しか今はないんですよね。でも、民法上、オーナーがOK出せば私有地であっても停めてOKなんです。そこでオンライン上で土地余ってる人が貸したり借りたりできるようにするってことを現在弊社でもやってるんですけどそこでの課題が水と電気とWi-Fiなんです。水はトイレが近くにあるとかでコンビニがあればいいんですが。
また別の側面から話すと僕らが考えるvanlifeは旅→働き方→暮らしの3フェーズで構成されていて、実際にウチのメンバーの30%は家を捨てて車に住んでいます。でもそんな生き方をしている人たちってまだ日本にも100人もいないのですが、いきなり「暮らし」にジャンプするのはハードルが高くて。そのためにはまずは平日車で働ける社会の到来がまずのステップだなと。ただ、働くってなるとWi-Fiが無いと無理ですよね、今の時代。で地方でどこが都心並みにWi-Fi強いかって言ったらNTTさんの基地局じゃないですか。
NTTさんは超強い基地局を持ってて、且つ土地もかなり余らせてるんです。そこを上手く利活用すればいいじゃんと。実際僕ら日光でやらせてもらってるんですけど、快適に眠れるしWi-Fiめちゃ強いっていう環境を構築しました。そこでテレビ会議出来たりとかNetflix見ながら寝るとかできちゃってるんですよね。
地方接続悪いよね問題をNTTさんと一緒に解決していってます。5Gの波。自動運転の波とインバウンドの波というところで、3つ目はインバウンドリーグさんとの提携をトピックで挙げさせていただきます。
寺:宣伝ありがとうございます(笑)
宮:いや、真面目な話、日本でこの動くオフィスだったり動くホテルっていう実証実験させてもらえるところってインバウンドリーグしか無いと思うんですよ。
この施設はただのコワーキングじゃなくて、観光案内所もあってインバウンドの方々も来てくれてオフィスワーカーの人も来るじゃないですか。駅からも近いですし。
トヨタさんと提携してから、トヨタの人たち10人くらい来てるですけど、口々にここいいねって言ってくれてて。こういう実証実験を人里離れた場所じゃなくて、リアルに人がいる場、しかも新宿という超都心でやらせてもらえてるのは本当にありがたいです。
インバウンドリーグに来ていただければ、海外の方だけではなくて日本人でもバンを借りることもできるし、日中旅しないけど車で働くってのの体験なんかもしてもらえます。
寺:ちなみにメンバーで車で働いてる人たちって、どんなお仕事されてるんですか?
宮:はい、主にメディア部分の記事作成をしてもらってます。フルタイム5人でして、他の人達がライターとかエンジニアとかが多いんですね。うちライターが6〜7人くらいで本業何かやりながらフリーランスで旅しながら本業やったりライターやってもらってます。
来年車中泊のドラマやるんです(テレ東)で、うちがPR協力とかするんですけど、その記事とかは僕が昨日夜な夜な書いてました。
https://www.tv-tokyo.co.jp/zetsumeshiroad/intro/
カメラを止めるなの俳優さんが主役でやるんですけどサウナとか今流行ってるじゃないですか。サウナとかソロキャンプとかの次の枠で金曜日深夜やります。ぜひ御覧ください。
寺:それは楽しみですね!
宮:テレビ見た人が車中泊やりたいなとなったときに、今車中泊系のサービスはcarstayしかないので、僕らが安心安全のルール喚起もしながら広めていければと思っています。
寺:話聞いてる限り盤石な感じがするんですけど、事業進める上で課題とかってあるんですか?
宮:一番は採用ですね。今日も新しい求人媒体登録したんですが、特にエンジニアさんなんですけど、優秀なエンジニアさんは今グローバル規模で奪い合いですからね。
採用となるとグーグルとかメルカリさんとかと戦わなきゃいけないじゃないですか。やっぱスキルあるエンジニアさんだとそっちに行ってしまうので、採用が課題です。
お金がグーグルとかメルカリより出せない中でいかにウチに興味持ってもらえるか。そこで言ってるのは、ウチのミッションとして「Stay Anywhere,Anytime」で、「誰もが好きな時に、好きな場所で、好きな人と過ごせる世界をつくる」
で、数年後のビジョンなんですけど、今本社機能ってインバウンドリーグさんにありますけど、それをインターネット上に分散しようと思ってます。当然ここにもメンバーはいるけど、みんなバンとかで好きなときに好きな場所で働ける移動型オフィスみたいな会社をやりたくて。今でもみんなzoomとかslackとかオンライン上で全部やり取りしてまして、リモートワークできる環境はすでにあるのですが、3年以内にそれを完璧にしようと思っています。そんな働き方を魅力に思ってもらえる人たちが徐々に集まってきてるって感じですね。
寺:それは優秀なエンジニアの方には魅力的ですね!
宮:そうなんです、服装も髪型も何も気にしないですし出勤しなくていいし旅しながら働く感じですね!おっしゃるとおり優秀な人ほどこのようなニーズが高いと確信しています。なんで満員電車乗る必要あるの?っていう方とはウチはとても合いますね。
寺:採用の課題というのは応募の母数が少ないのか、マッチングがなかなか上手くいかないのか、どちらでしょうか?
宮:応募自体はありがたいことに沢山来ています。本当にありがたいです。ただ、僕らのシステムが全部自社開発しているかなり難易度の高い複雑なシステムになっているんですね。
バックエンドの仕組みも全部自社で作っているんですよ。そうすると未経験だけどエンジニアとして頑張りたいというくらいの方だと、ちょっと技術的に合わなかったりして、お金が無いくせに良い人取りたいっていう虫の良い話です(笑)
寺:ベンチャーあるあるですよね(笑)ミッション、ビジョンへの共感は当然として、そのために工夫されていることはあるんですか?
宮:今度アウトドアもくもく会ってのやるんですけど、エンジニアさんのやっている基本室内の勉強会を焚き火囲ってやろうぜ、っていう、ウチスタイルのもくもく会です。山梨県の山奥にエンジニアさんを連れていくという会をやる予定です。
寺:当然Wi-Fiは?
宮:バリバリ繋がります!
寺:ちなみによくこれだけの構想のビジネスを一人で始めようと思いましたね。
宮:前職で会計の知識やIPO、事業計画や営業活動といった起業に必要な最低限のインプットはありましたが、一人で始めようとは思っていませんでした。
逆に自分にできることできないことを明確にしました。僕、コード書けないんですよ。なのでエンジニアリングは他の人に任せると決めました。デザインもちょっとかじってるけど僕はやらないとか仕分けをしていきました。それで出来ないこと、困っていることを常に声高に叫び続けるというやり方を選択しました(笑)わからないときは速攻でSNSに投稿するみたいな(笑)
そうすると、そのときにマッチしなくても忘れた頃に誰かが凄腕エンジニアで暇してる人いるよ〜とか紹介してくれたりするんですよ。本当にありがたいです。そういうご縁でひたすら人にお願いをするっていうスタンスでやっています。
寺:理想的ですね。よく言われるけど一人で出来ることは限られているし、その過程で宮下さんのビジョンが皆のビジョンになっていきますもんね。
宮:だから起業してから人とのご縁とか、毎日人に感謝して生きてます本当に。
可動産投資プラットフォームという実利的なワクワク、そしてvanlifeという新しいライフスタイル、ひいては文化創出に繋がりそうな面白い会社、それがcarstayであり、社長の宮下さんです。
宮下さん、ありがとうございました!