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(日本語) 【インタビュー前編】「可動産」プラットフォーマーへ!注目のベンチャー企業Carstay株式会社に話を聞きました

2020.01.15

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これからのグローバル&ローカルビジネスを考える人たちが集い、働き、繋がる場所、インバウンドリーグ。ここにご入居されている企業様を紹介するシリーズ第一弾!

記念すべき第一回は、vanに特化したカーシェアリングサービスと可動産という新たな概念を提唱し注目を集める期待のベンチャーCarstay株式会社の宮下さんにお越しいただきました。

 

Carstay株式会社 代表取締役社長 宮下晃樹さん(以下:宮)

HP: https://carstay.jp/ja

インタビュアー UDS株式会社 コミュニティマネジメント事業部 寺尾講平(以下:寺)

 

Carstayは車版Airbnb

寺:今日はありがとうございます!まず事業内容を教えてください。

宮:株式会社Carstay、2018年6月に立ち上がった会社でして、一言で言うと車版のAirbnbみたいなことをtoC向けにやっています。B向けには、車と不動産が融合した(写真のような)バンとかを「可動産」と呼んでるんですけど、可動産のプラットフォームをB向けにやっているという二側面あります。

 

寺:toC向けの車版Airbnb、もう少し具体的に教えてください。

宮:僕らはバンを通した新しい旅とか暮らしをvanlifeと呼んでいて、そのvanlifeを誰でも簡単に出来るようにするというプラットフォームを作っています。

情報発信のメディアの運営

https://carstay.jp/ja/media

から

車のカーシェア

https://carstay.jp/ja

サービスなど、借りた後地域を訪れてどこへ行けばいいのかの情報提供やアクティビティとか宿泊場所の予約まで一気通貫してスマホで出来るというサービスをやっています。

寺:それは面白そうですね!B2Bの可動産のプラットフォームというのも興味深いんですが、どのようなモデルなんですか?

宮:これから自動運転とか5Gとかが実用化されると、人ってこれまで以上に移動空間に滞在するのではないかという仮説を持っています。そうなると不動産で言うところのREITみたいな考え方が可動産に適用される、投資される時代が来るのでないかと考えています。

すでにそれはキャンピングカーで行われてまして、安全資産と捉えられているキャンピングカーって移動だけではなく宿泊もあるので、一泊2万円以上とかで貸せちゃうんですね。

それで、所有者自身は年に1、2回乗って後は貸しちゃって、毎日乗るためではなく運用目的で所有する方が結構最近は増えてきています。ただ、一方でキャンピングカーってレガシーな業界にも関わらず、他の投資・投機商品のように全然プラットフォームとなるサービスが現在ないんです。そこで僕らが来年中を目処にそのプラットフォームを作ろうと計画しています。

今後、車もワンクリックで買ったり借りたりできるようになると思っているですが、このようなバンも日本にまだまだそんなに多くないので、バン自体も更に増やしていって、オーナーさんは運用できるし、借りる人も色んなバンがあったら色んな使い方が出来て楽しめるし、借りる人には旅とか動くオフィスとか動く家とかの実現に寄与できる、そういう二側面で事業を大きくしていこうというのが僕らの今の構想ですね。

実証実験中のバン内で

 

寺:面白いですね。そうか、そうなると今は不動産みたいに資産価値を測れる指標も無いから、このカーシェアリングサービスで可動産の投資に値する価値を証明できれば、これくらいのバンだったらこれくらいの収益が上がりそうだから、と投資商品として魅力的になってくるんですね。

宮:その通りです。今回もINBOUNDLEAGUEさんにご協力いただいて、このバンをどこまで運用できるかの実証実験をさせていただきます。この「動く何か」が実証できれば、不動産の機能がどんどん車に置き換わっていくかなと。

将来ハンドルがなくなる世界になっていくと思うんですけど、それの実証みたいなことを僕らだけでなく、トヨタさんとかソフトバンクさんとかで組んでいる自動運転のコンソーシアムに僕ら入らせてもらって、一緒にやらせてもらってます。

一見、車中泊だけだとニッチなマーケットなんですけど、今後のテクノロジーの変化とかも見据えて移動空間をどうデザインするか、みたいなことを狙っているスタートアップです。ちなみにこれ、投資家さんの前では言ってますが、他のインタビューで言ったことないので良い感じの記事になるかもしれないです(笑)

 

寺:良い質問をしてしまってすみません(笑)ちなみに、御社にはどんな資金が入ってるんですか?

宮:昨年の4月にいわゆるシードラウンドで4,000万円弱の外部資金を調達しています。ライフタイムベンチャーズさんというベンチャーキャピタル、エンジェルとしてメルカリの執行役員の方にエンジェルで入れてもらって、融資もいくらか入れています。

寺:それにしても「可動産」はめちゃくちゃ面白いです!僕いつも思うのは「家動け」って(笑)出社直前までずーっと寝てたくて(笑)起きたら家が会社に着いてたらなーと思って今まで生きてきてて。

宮:それめちゃくちゃわかります(笑)僕もサーフィン好きなんで、寝てる間に運んでくれって思ってて。

寺:サーフィン朝早いですもんね。

宮:そうなんです。

寺:ちなみに競合についてですが、バンシェアで言ったら無いと思うんですが、今って競合の境ってとても曖昧じゃないですか。タイムシェアの奪い合いって軸であれば据え置きゲーム会社の競合がスマホアプリになってたりとか。そういう意味でいくと、御社にとっての競合ってどこになるんですか?

宮:それ難しいですよね。僕も競合を考える上で、日々色んな軸での競合を考えるんですけど、一番よく言うのはやはりAirbnbですかね。旅軸で見ると、いわゆる不確実性とか冒険みたいな旅ですと、泊まるとか体験っていうプラットフォームではAirbnbが世界で強いのかなと。Carstayもこのモデル海外に出していきたいんですけど、アメリカではキャンプとか成熟しちゃってるんですが、シンガポールとかはまだこういうモデル無いのでやっていきたいなと思うときに、Airbnbがどこの国にもあるんです。

寺:なるほど、Airbnbがそのプラットフォーム上に可動産の考えを乗せてきたら・・

宮:そうです、やっぱりクロスボーダーでやってる所は強いなと思いますね。

寺: Vanのオーナーさんとかホルダーさんってどうやって集めてるんですか?そことの関係が参入障壁になりえるかなと思うんです。

宮:自分たちのメディアを持っているのでそこからの流入と、そのような方々がワッと集まるような東京モーターショーみたいなイベントを押さえてそこで関係を作るのは日々やっています。

寺:そうですね。それに可動産投資プラットフォームという両輪で参入障壁いけそうだなと思いました。競合とかって言ってますけど、ようは自分たちが社会にどのような価値を提供できるかってことですもんね。UDSでもいつもそのような議論があります、最後はそこに戻るんですかね。

 

世界規模で盛り上がるvanlifeの流れ

 

寺:投資商品になるってのも面白いですね。海外では若いうちに豪華な別荘購入して人に貸してローンと賃料を相殺させてリタイア後、自分で住むってのも当たり前にあって、そんなイメージですもんね。

宮:おっしゃるとおりです。ちなみに、ここにvanlifeって本がありまして。これ、ラルフローレンのデザイナーの本なんですが、今までのバンライフってタイニーハウス(注:10m~20m2ほどの居住可能人数は1~2名ほどの住宅のこと)のような、アメリカで家に車輪付けようみたいなミニマリズムの象徴であって、ヒッピー的なカウンターカルチャーで自然と調和して車に住もうみたいな人たちが昔からいたんですけど、リーマンショック後、いわゆるスーツ着てるバリバリのビジネスマンで車に住み始めた初めての人がこの人なんです。で、バンライフの神のようなこの人が「vanlife」という本を2013年に出してインスタやブログで拡散しまくって

HOME IS WHERE YOU PARK IT

あなたが住む場所はあなたが車を停めた場所だ、

って考えが広まり、物質的に豊かなアメリカ資本主義の中で、本当に必要な物ってこれだけだよね、で、その分家族との時間を大事にしたりとか、愛犬と一緒に移動したりとか自然を近くに感じたり、みたいな精神的に豊かだよねっていうムーブメントが弾けて、去年くらいから日本にインスタで来て、って感じで、その火付け役になった本です。今 #vanlifeは600万投稿くらいあって、Airbnbの400万くらいを超す波が来てます。

で、日本はたまたま車中泊という別の文脈で増えてて。やっぱ日本って治安良いじゃないですか。コンビニもどこにでもあるからトイレ困らないし、気持ちの良い温泉も全国にあるし、どこいってもご飯美味しいしっていう中で、日本独自の車中泊の文化と海外から来たおしゃれなバンライフが融合して、っていうフェーズが今なんです。

寺:アツいですね!バンライフ興味出てきました!

そういえば、可動産の投資で今思い出したんですが、私、去年の頭まで長崎県のとある地域に移住していたんですが、そこでいわゆる地主の方々と話してたときに、今は土地沢山持ってても固定資産税かかるだけだし、売りたいけど買い手がいなくてとても困ってるんだ、という話をよく耳にしてました。需要がなくなった土地の動けない不動産ではなく、可動産という考え方なら、例えば、地方のお金持ってるオーナーがバンを所有して、需要のある都心や観光地で運用して収益を得るってことも可能ですよね。

宮:そうなります。土地と違って、急な乱高下もないですし、固定資産税かからないですし。興味深いのは自治体さんとかだと防災の文脈で興味持っていただいてます。この車、災害あったときに最強で、サブバッテリー積んでるし太陽光パネルで発電してるしこの車だけで生きているんで、例えば何かあったとき用に自治体さんに買っといてもらって普段は旅行で回す、というのはこれから結構流行るんではないかと思っています。

ふるさと納税でキャンピングカーが今出始めていますしね。インバウンドとかの波も来ているのでこれから頑張っていきたいです。

インバウンドリーグ打ち合わせラウンジにて

寺:車って営業許可も取れるし良いですよね。どこでも営業できるというか。建物建てちゃダメな場所でもあくまで車両扱いになることで営業できたりしますもんね。

宮:需要と供給のバランスで言ったときに、自分で需要のあるところに移動できるのがポイントです。例えば宿不足。来年オリンピックで宿不足が叫ばれてますし、例えば地方のお祭りとか花火大会で一時的に需要がワッと増えたとき、空いてる土地もあってもそのためだけに大きいホテルとか作れないじゃないですか。それがバンライフで上手く宿不足とかも解決できるんじゃないか、と考えています。サステイナブル(持続可能)な形を考える上で、大事なアセットの組み合わせじゃないでしょうか。

寺:昨日まで何もなかったところに屋台とかホテルとかが突然現れるイメージですよね。それに関連して御社の記事に面白いの見つけました。

 

2日間だけ現れる集落「モバイルハウスビレッジ2019」のDIYキャンピングカーを一挙紹介!

https://carstay.jp/ja/media/stay/5dd14a1e19e3133903968cb7

 

これって正に宮下さんが仰ってる形ですよね。

宮:これ、僕が主催したんです。

寺:え、そうなんですか!

宮:ここただの牧草地なんですけど、クリエイターさんが自作しているキャンピングカーで77台200人くらい集まってくれて。ようは車の展覧会なんですけど結構面白い取り組みになりました。

これらは海外よりのvanlifeなんですけど、ようは自己表現なんです。ペンシルバニアファミリーを想起させるような車だし(詳しくは記事参照)動く駄菓子屋さんとかみんな自己表現でやってて。で、これらが集まると何が起こるかというと一日だけ現れて消える集落になるんですよね。これ僕ら主催しましたけど特にご飯とか用意してなくて、みんな勝手にやってくれるんですよ。漁師さんとか勝手に魚とか持ってくるし、木こりの人は勝手に木とかいっぱい持ってきてくれるし、火起こすの得意な人いるし、パフォーマーは勝手に歌ったり踊ったりしてるし。ある種、社会実験的な所で「何もない牧草地で人は暮らせるのか?」ってテーマで、表は車の展示会、裏は社会実験になってるといったイベントだったんですが、結構上手くいって手応えありました。移動型コミュニティみたいな。

寺:なんかそれ聞いてて思い出したんですが、長崎いたときにリアルRPG企画してたことがあって。有明海という干満の差が日本一激しいところで、昼(満潮)に無かった橋が夜(干潮)になると現れるって現象が毎日あって。ある条件で橋が現れるとか超RPGっぽいじゃないですか。ただキャッシュポイントって限られてて、その風景があるから「で?」って感じで。それこそ宮下さん言ってたようにそのためにホテル建設するなんて不可能だし。

でもこのどこにでも現れる集落という考え方があれば、過疎が進んでて、人は来てるんだけどキャッシュポイント作れない地域にとっては新しい稼ぎ方になりますよね。

宮:そうなんです。利用者にとってもそこでご飯も食べれば宿泊も出来れば、その地域に来るハードル下がりますよ。

 

寺:これは自治体絡んでるんですか?

宮:実は全く関わってないんです。キャンピングカーオーナーもほぼ県外の人たちが集まって勝手に盛り上がったんですよね。しかも来たときよりキレイにして帰っていくんですよ。一泊二日するので近くで何か買ったりして地域にお金が落ちて経済効果も生めたかなって思ってます。この記事の反響結構良かったですよ、自治体さんからも連絡来ましたね。ウチの地域の空き地でもやってほしいと。空き地であればぶっちゃけどこでも良くて、加えて景色良ければ嬉しいなくらいなんで。みんな寝床は自分で用意するし、自分の足で来ますし。イベント運営する上で一番ラクだと思います(笑)

フェスと絡めたりとか今後構想は考えています。

 

寺:この参加者の皆さんとの関係ってどうやって構築したんですか?

宮:僕らがこの方々と出会ったのは一年前くらいです。このクラスタの方々が集まっているfacebookグループが元々あってそこに僕らも加えていただき繋がっていったという感じです。

寺:つまりfacebookグループがオフラインになったイメージですか?

宮:そうなんです。SNSって繋がりたいときだけ繋がってっていうように流動的なコミュニティじゃないですか。インターネットが無かったときのコミュニティってずっと住んでるとかの繋がりですが、楽しい半面煩わしさもつきまとってて。それに対してSNSって気軽さがあります。ただ、それはあくまでオンラインの世界でしかないです。

でも移動型のコミュニティってSNSの気軽さをオフラインで出来るんじゃないかなって。それの実験と言っては変ですけど、それの一つの形を作れたんじゃないかなと思います。

次回はなぜ宮下さんは起業をしたのか?や最近のトピックなどを聞いていく後編をお届けします。

後編はこちら

お楽しみに!